MOTU M2 を購入するまですごく迷った話と決め手になったもの
MOTU M2 を購入するまでかなり悩んだ話を書きます。
きっかけ
たぶん7、8年使ったSteinberg の UR22mk2なんですが、最近どうも自分のMacとの相性が悪い(気がする)。OSをMontereyからVenturaにアップグレードしてから。
クラッシュしたりスリープ中にURとMacの接続が解除されてたり(スリープ中にもクラッシュしてるっぽい)、爆速だった起動にめっちゃ時間がかかったり。ログを調べてみると、URのドライバーが原因だと断定できるわけではないけど、原因になっている可能性はあるっぽい。
ドライバーのWarningが出たり、元々ドライバーインストール時のセキュリティ設定が少し気持ち悪かったというのもあり、これはいいタイミングだと自分に言い聞かせて買い換えることにしました。
(後々ドライバをアンインストールしたら安定したので、調子が悪いのは多分これが原因だったと思います。)
まあ要は新しいのが欲しくなったということです。
それでとにかく迷って、結局はMOTUにしました。
この記事では、新しいオーディオインターフェースを選ぶ時に何をそんなに迷ったのかということをだらだらと書きます。
Steinberg UR22mk2 と Apogee Duet
SteinbergのUR22mk2の前は、ApogeeのDuetを使用していました。
Duetはとてもとても気に入っていて、基本壊れるまでずっと使い続けても良いとさえ思ってたんですけど、ドライバのサポートが切れてしまい泣く泣く新しいのに変えました。
UR22mk2を選んだのは、もうバリバリDTMをやるわけでもないし、安いし、SteinbergはCubaseで馴染みがあるし、という理由です。
これまで十分役割を果たしてくれました。
使っていて大きな不満はないが、かと言って感動もないという感じでしょうか。なんというか所有する喜びみたいなのはないですね。価格を考えたら当然と言えば当然ですけども。
UR22mk2は優れた「ツール」という感じで別に悪くはないんです。単に飽きてしまったというか。
DTM初心者の方には本当におすすめします。
Duetの前がWindowsでMbox2、WindowsからMacに乗り換えるタイミングでDuetに変えたんですけど、それはそれは感動したというのを覚えています。Mbox2ではProTools以外の音は出せなくて、聴き比べ的なのはやらなかった記憶です。(でも購入してからしばらくしてDACとしても使えるようになっていたような記憶も)
当時、音質の違いをはっきりとわかるような耳を持っていたのか今となっては疑問ではあるんですけど、所有欲を大変良い感じに満たしてくれるものがありました。これとても重要です。こういうのって音楽を造る方だけではなく、聴く方のモチベーションにも関わるんですよね。
Apogee Duetは私の音楽生活を大変豊かにしてくれました。
憧れのメーカーのオーディオインターフェース
ある時MOTUのM2/M4の品薄のニュースを目にしました。たぶんそこから心のどこかで気になりだし、Universal AudioのVOLTシリーズの発売でスイッチが入ってしまいました。
新しいオーディオインターフェースを選ぶ上でのポイントは4つ
- 予算は3万円くらい
- 2in /2out (4in/4out以上で3万くらいだとランクが下がる印象)
- 歌や楽器の録音はほとんどしない(コンデンサーマイクを使うことはある)けど、これから先ないとも言い切れない。
- 入力よりも出力重視(DACとしての性能)
それで最終候補は4つ
- Universal Audio VOLT 2
- SOLID STATE LOGIC SSL 2
- MOTU M2
- Audient iD4mk2
今現在の3万円くらいのオーディオインターフェースでは定番化しているようです。
Audientはこれまで知りませんでしたが、それ以外の UA、SSL、MOTU は昔の自分なら到底手が出せるとは思ってもいなかったようなメーカーです。サウンド&レコーディングマガジンでよく出てくるやつ。とてもいい時代になりました。
でも本当はApogee Duet 3が欲しかったです。もっと欲を言えばBabyfaceとかApolloが欲しいですよそりゃ。
まあでも予算は3万円くらいでなので。
ESS Sabre32 DACテクノロジー
ちなみに最終候補からは外れましたが、Apogee BOOMというのもありました。こちらDACには上位機種にも使われているチップを使用しているし、DSPも搭載しているしで大いにそそります。本来4万円前後のようですが、丁度値下がりしていて同価格帯に入ってました。
しかしモニターアウトとヘッドフォンアウトが同時に使えないと言う欠点があります。
ヘッドフォンを挿すとモニターアウトがミュートされる仕様。これがちょっときつい。
あとヘッドフォン端子が本体後ろにあるのも少々きつい。
よって今回は候補から除外しました。
この点が違っていたらたぶん BOOMにしていたと思います。
そしてここで結構大きなポイントがあって、このApogee BOOMに使われているDAC用のチップ、ESS Sabre32 DACテクノロジーっていうらしいんですけど、これはMOTUのM2 / M4でも使われているんです。(細かい型番などは違うのかもしれませんが)
→Apogee Boom 詳細
ということはM2 / M4のDACはApogeeの上位機種と同等だということ(ちなみにDuet 2がこのチップを採用していました。現行のDuet 3ではESS Sabre 9016というのが使われています)
追記:さらに調べてみるとESS Sabre 9016というのは、Sabre32の中の型番のうちの1つ。ということはDuet 3とも同等の可能性がある?ちょっとそこまではわかりませんでした。
→グローバル電子株式会社 ESS Technology SABRE32ページ
4つの機種の印象
で、あれこれ調べていくうちに大体特徴が見えてきました。
Universal Audio VOLT 2
→ 入力が特に優秀。そこそこの出力。 マイクプリアンプが特に良い。この機種だけループバックが未実装だが、一応実装予定はあるにはあるらしいが音沙汰なしの模様。自分はループバックを使う機会はほぼなさそうだけど。
SOLID STATE LOGIC SSL 2
→ こちらも入力が特に優秀。この中では出力の評判がイマイチ芳しくない。こちらもマイクプリが特に良い。しかしヘッドフォン端子が本体後ろ。見た目というか佇まいは一番好み。
2024/10/14追記
SSL2がSSL2 MkIIとしてリニューアルされました!
こちらはヘッドフォン端子が前面配置に変更。しかも2つ!
されにギター、ベース向けのInput端子も前面へ移動してます。
そして懸念材料だった出音に関わるAD/DAコンバータが変更され、24bit192KHzから32bit192KHzとなりました。しかもESS製だそうです。
追記時点で税込¥32,780
これは欲しいかも…
Rock oN Line eStore/SSL2 MkII商品ページ
MOTU M2
→ 入力、出力とも優秀。癖なし。液晶メーターがカッコいいが見た目は一番地味に感じるかも。出力の評判は一番良さげな印象。DACがDuet2と同じチップ(型番などは違うかも)。
Audient iD4mk2
→ こちらも入力、出力ともに優秀。出力のダイナミクス値はこの中で最強。見た目も素敵。
メーカーへの憧れ具合だとUniversal Audio か SOLID STATE LOGIC か、って感じなんでけすど、
でもこの2つはどちらかと言えば入力特化。
出力重視だとMOTU かAudientを選んだほうが良さそうなんですが、やはり憧れのメーカーに惹かれるものがあります。だからと言ってMOTUに憧れてないというわけではないんですけど、多分見た目の問題なんだと思います。
本来オーディオインターフェースを選ぶなら機能と音質で選ぶべきなのは百も承知なんですけど、もはやそこまでガチではないし、それを使う生活を楽しめるか?みたいな要素もあるんですよね。
見た目はSSL2が一番好き。VOLTが276の方ならSSL2以上にもっと好きですがコンプ使わないしちょっと高い。MOTUもAudentも普通にというかめっちゃ雰囲気良いんですけど、それ以上にSSLの雰囲気が好き。しかしイヤフォン端子が本体の裏側…
イヤフォン端子って、裏側にあって嬉しい場面ってあるんでしょうか…?
決められない
ここから大きく悩むわけです。
自問自答。
「聴き比べないとわからないんじゃね?」
「スピーカーもヘッドフォンも大したやつじゃないでしょうに」
「見た目も大事だよ」
正直、自分の耳はあまり評価していない。
もし聴き比べたとして、違いこそわかれど良し悪しの判断はできないのではないか。
この出力の違いが自分にとって好みの範疇を越えて良し悪しの域に感じてしまうかどうか。
(実際は聴き比べないのでそれを感じることはないのですけど)
これがまず一つの大きな悩みどころ。
例えば、よくあるアンプシミュレータでマイクとか位置とかをいろいろ調整できる的なやつ。音色そのものでも言えますが、いろいろ調整するけど沼にハマってなかなか決められない的な事(自分はそう)とだいたい似たようなことなんじゃないかと思ってしまう。
違うのはわかるんだけど…みたいな感じです。
もちろんそれはこの同価格帯の機種間の話であって、さすがに価格差のあるやつと比べたらそれは良し悪しと言っても良いのかもしれません。
自分は物を購入してあまり後悔したことがない。
多分どの機種を購入しても出音に不満を感じることはないんじゃないか。
購入さえしてしまえばそれを受け入れるのではないか。
おそらくこの4機種のどれを買っても満足できそうなのは薄々感じています。
じゃあ入力特化の方が嬉しいんじゃね?
確かにそう。
でもそうはいかないのが人間というもの。
自分は良し悪しを感じ取ってしまうはず、と信じたい自分がいる。
「もっと良い音質の機種が他にあったかも」というのをずっと気にしてしまいそうな気がする。
でも憧れのメーカーの機材を使う音楽生活はとても捗るんですよね。
Apogee Duetがそうだったから。
でも当時はApogee一択で、比較対象にした機種が無かった。
自分にとって大事なのは僅かな音質の違いなのか、それを使う音楽生活の豊かさなのか。
どっちも大事。どちらも得たい。
となると万能タイプになってしまう。
悩んだポイントと決め手
結局選んだのはMOTUでした。
結局一体何に悩んでいたのかをちょっと要点を整理してみると、 (全然整理できていないが)
ブランドの好みや見た目ではUAとSSLが僅かにリード、とは言うもののその他も全然良い。
出音はMOTUとAudientの方が「良さそう」というだけで、聴き比べない限りわからなそう。
どれを買っても満足しそうな気はするけど、UAとSSLを選んだら出力の音質で心残りが生じる可能性をわずかに感じている。
一番目的に合っていそうなのはMOTUだけどAudientも同じくらい良い。しかしiD4はステレオ入力がめんどくさそう(入力端子が違う)、だけどそもそもそれを使う機会はほぼなさそう。
所有欲を満たしてくれそうなのはUAかSSL。
でもMOTUもそれに劣らず。
こんなことを永遠考えて悩んでいたわけです。
で、決め手になったのは元々Duetが欲しかったというのもある中で見つけたESS Sabre 32の件でした。
でも自分が歌の録音やっているなら、VOLT2 か SSL2 を選んでいたような気がする。
M2 購入後、もちろん大変満足しています。めっちゃ良いです。
こんなところで話は終わりです。
ここまで読んでくださったということは、きっとオーディオインターフェース選びで悩んでいるのではないでしょうか?
用途も選ぶポイントも人それぞれ。
とことん悩んだっていいじゃない。
悩んでいるうちに「やっぱいらね」ってなる可能性もなきにしもあらずですが。
あとユーザー登録の仕方とかドライバについてなど書いてるので、買ったけどわからないという方はどうぞ
プラグインを入れるなら
MOTU Mシリーズを購入すると無料で使えるPerformer Liteは、他社製のプラグインやソフトウェア音源を使うことができます。
→MOTU Performer Lite の使い方 インストール編
MOTU純正のプラグインも高性能ではありますがあまり種類が豊富とは言えません。ぜひ他社のプラグインやソフトウェア音源も検討してみましょう。
世の中には数えきれないほどのプラグインが存在しますが、それを使用することで表現の幅や出来ることが広がるのは間違いありません。プラグインそのものが強力な武器になりますが、選択肢が増えるということ自体が大きなアドバンテージになります。
そこでぜひ覗いてみてほしいサイトが「Plugin Boutique」です。
イギリスのサイトですがWAVESや、UNIVERSAL AUDIO、SSL、Sonnoxなどプロの現場で実際に使用されているものをはじめ、非常に多くのプラグイン、ソフトウェア音源を扱っています。
そして頻繁に開催されるセールがとても魅力で、何十万円もするプラグインが90%OFFで買えることもあります。
そんなPlugin BoutiqueはPayPalを利用して気軽に利用できます。
ぜひ覗いてみてください。
→PayPal(ペイパル)アカウントの作り方とカード登録と準備